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はじめに

北海道の東側には、景色が変わるたびに旅の印象も大きく変わる魅力があります。
釧路湿原阿寒湖摩周湖をつないで巡る「水のカムイ観光圏」は、雄大な自然、美しい湖の景色、静けさに包まれる時間を一度の旅で味わえる特別なエリアです。
湿原の広がりに圧倒され、湖畔の穏やかな空気に癒やされ、さらに進めば火山が生んだ地形や、この土地に息づくアイヌ文化にも出会えます。

初めて訪れるなら2泊3日ほどあると回りやすく、車なしの場合は阿寒湖温泉や川湯温泉を拠点にすると、移動の負担を抑えながら満喫しやすくなります。

この記事では、「水のカムイ観光圏」がどんなエリアなのかを整理しながら、見どころ、回り方、季節ごとの楽しみ方をわかりやすく紹介します。

水のカムイ観光圏とは?釧路湿原・阿寒湖・摩周湖を周遊するひがし北海道の旅エリア

釧路湿原・阿寒湖・摩周湖。この3つの名前を聞いただけで、広大な北海道の景色が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
「水のカムイ観光圏」は、その3つのエリアを軸に、ひがし北海道の自然・アイヌ文化・温泉・食をひとつながりで楽しめるよう整理された広域観光エリアです。

"カムイ"はアイヌ語で「神」を意味します。自然のあらゆるものに神が宿るというアイヌの世界観において、水は特別な存在でした。川も湖も湿原も、すべてがカムイとともにある世界。その言葉が観光圏の名前に選ばれているのは、この土地の本質をそのまま映しているからです。

このエリアの面白さは、湿原・湖・火山地形・アイヌ文化・温泉という要素が「点」ではなく「線」でつながっていることにあります。
コンセプトは「水のカムイと出会える旅へ」。水の流れとともに育まれてきた自然や文化に触れることで、ただ名所を巡るだけではない、北海道の東側ならではの奥深い旅が楽しめます。
ひとつの名所を見て終わりではなく、周遊するほどにこの土地の奥行きが立体的に見えてくる。それが「水のカムイ観光圏」の旅の醍醐味です。

「水のカムイ観光圏」はどんな人におすすめ?ゆっくり味わう旅が似合う理由

「水のカムイ観光圏」が似合うのは、景色を眺めるだけでなく、その土地の空気や時間の流れまで含めて楽しみたい方です。
絶景を見て満足する旅ではなく、温泉に浸かり、土地ならではの食を味わい、自然の中で過ごす時間やアイヌ文化との出会いも大切にしたい。そんな旅を求める方に、このエリアはよく合います。
広い空、澄んだ空気、耳を澄ませたくなるような静けさに惹かれる方にも、きっと印象深い旅になるでしょう。
北海道を何度か旅したことがある方はもちろん、次は少し違う北海道に出会いたいと考えている方にもおすすめです。

このエリアでは、急いで移動するよりも、ひとつひとつの場所に少し長くとどまるほうが旅の魅力が深まります。
釧路湿原では、ただ広いだけではない、空と大地がつながるような風景に見入る時間が心に残ります。
阿寒湖では、湖畔の散策やアイヌコタンでのひとときが、景色だけではない旅の記憶をつくってくれます。
摩周湖では、晴れた日の透明感も、霧に包まれた幻想的な表情も、それぞれ違った美しさとして心に残ります。
場所ごとに雰囲気が大きく変わるからこそ、ただ巡るだけでも旅に奥行きが生まれます。

1泊2日でも回れますが、初めてなら2泊3日以上あると、このエリアの魅力をより無理なく味わえます。
湿原、湖、温泉地と、訪れる場所によって旅の印象が大きく変わるため、少し余裕を持たせた行程のほうが満足度は高くなります。景色の違いを楽しみながら、自分のペースでゆっくり巡る。その時間こそが、「水のカムイ観光圏」の旅を特別なものにしてくれます。

釧路湿原の見どころは?広大な自然で楽しむカヌー・展望台・タンチョウ観察を解説

「水のカムイ観光圏」の旅は、釧路湿原から始めるのが自然で最適な旅の形です。

釧路湿原は日本最大の湿原で、ラムサール条約にも登録された、国際的にも貴重な自然地帯です。その「すごさ」は、数字よりも、実際に展望台に立って目の前に広がる景色を見たときに初めてわかります。

空が広い。地平線のように続く湿原。蛇行する釧路川。人工物がほとんど視界に入らない。この感覚は、他ではなかなか味わえないものです。「ひがし北海道に来た」という実感が、ここで一気に体に届きます。

展望台めぐり
細岡展望台(ほそおかてんぼうだい)・サルボ展望台・コッタロ湿原展望台・北斗展望台など、それぞれ異なるアングルで湿原を見渡せます。天気や時間帯によっても表情が変わるので、複数の展望台を組み合わせるのがおすすめです。
北斗展望台ガイドツアーは動画の7:25からご覧になれます。

釧路湿原カヌー
湿原を水面から体感できる人気の自然体験。釧路川を漕ぎながら、葦(あし※水辺に群生するイネ科の多年草)の間をすり抜け、鳥の声に耳を澄ます。観光地然とした体験ではなく、自然のなかにそっと溶け込むような感覚があります。ガイドツアーに参加すると、湿原の生態系についての話も聞けて、景色の見方がぐっと豊かになります。
釧路湿原カヌーは動画の6:53からご覧になれます。

木道散策
温根内ビジターセンター(おんねないびじたーせんたー)周辺の木道は、湿原の中を歩けるルートとして人気。足元に広がる泥炭地の感触と、湿原植物の世界をじっくり楽しめます。

タンチョウ観察
釧路湿原はタンチョウの生息地として世界的にも知られています。特に冬場は、雪景色の中でタンチョウが舞う姿を見ることができ、その美しさは忘れられない記憶になります。

まず釧路湿原で道東のスケール感と自然の濃度を体に刻んでから、阿寒湖や摩周湖へ向かう流れにすると、旅全体が気持ちよくつながっていきます。
釧路エリアは動画の6:18からご覧になれます。

阿寒湖の見どころは?マリモ・阿寒湖アイヌコタン・阿寒湖温泉が重なる滞在型エリアの魅力

釧路湿原が果てしない広がりを感じるスポットだとすれば、阿寒湖は湖の景色、文化、温泉がひとつに重なり合う、じっくり滞在して楽しみたいエリアです。

阿寒湖は、特別天然記念物に指定されたマリモが生息することで広く知られています。
遊覧船で湖上を巡りながらチュウルイ島へ渡り、マリモ展示観察センターで本物のマリモを目の前にする体験は、子どもにも大人にも印象深く残ります。ゆっくりと丸みを帯びた緑の球体が水の中でたゆたう姿には、不思議と心を落ち着かせる魅力があります。

そして阿寒湖の魅力は、マリモの知名度だけでは語りきれません。湖畔に流れる静かな時間、アイヌ文化に触れるひととき、温泉地ならではの心ほどける空気が重なり合い、旅の記憶に深く残る場所になっています。

阿寒湖アイヌコタン:アイヌ文化と出会う場所
阿寒湖温泉街の一角に、「阿寒湖アイヌコタン」があります。 コタンとはアイヌ語で「集落」や「村」を意味する言葉で、阿寒湖アイヌコタンは、アイヌ文化を今に伝える場所として知られています。 単なる観光施設ではなく、現在もアイヌの人々が暮らし、日々の営みの中で文化を受け継いでいる点が大きな特徴です。エリア内には、木彫りや刺しゅうなどの工芸品を扱う店や、アイヌ料理を味わえる飲食店、古式舞踊や伝統を紹介する施設が集まり、歩きながらアイヌの歴史や文化に触れられます。

アイヌ古式舞踊のライブパフォーマンスは、阿寒湖アイヌシアター『イコㇿ』で鑑賞できます。阿寒湖を代表する文化体験のひとつとして訪れたい場所です。力強くも繊細な舞と音楽は、胸の奥にじわりと届く迫力があります。ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、ここでしか感じられないアイヌ文化の真髄に出会えます。

コタン内の工芸品店では、木彫りや刺繍といったアイヌの伝統的な手仕事を間近で見ることができます。
木彫りには、熊やフクロウなど自然に関わるモチーフを表現した置物のほか、盆や小箱など暮らしの中で使われてきた品もあり、素朴さの中に力強さが感じられます。刺繍は、衣服や袋物、布小物などに施されることが多く、曲線を生かした独特の文様が美しく、ひと目で印象に残ります。
こうした模様には魔除けや守りの意味が込められているものもあり、デザインとして眺めるだけでは見えてこない奥深さがあります。
ひとつひとつに込められた意味や技術を知ると、旅のお土産もより特別なものに感じられるはずです。

阿寒湖温泉で至福のひとときを過ごす
阿寒湖の湖畔には、温泉宿が立ち並ぶ阿寒湖温泉があります。湖に近いこの温泉地では、湯に浸かりながら水辺の景色を眺めることができ、釧路湿原で感じる開放感とはまた違った、落ち着きのある旅の時間が流れます。
散策しやすい温泉街には土産店や飲食店も点在し、湖畔の空気を感じながらゆっくり歩くだけでも、この土地ならではの穏やかな魅力に触れられます。足湯が楽しめるスポットに加え、阿寒湖温泉発祥とされる手湯もあり、散策の途中に気軽に温泉のぬくもりを感じられるのも魅力です。

阿寒湖の夕暮れどきは湖面の色がやわらかく変わり、夜は温泉で体を温め、朝には朝靄に包まれた湖を静かに眺めることができます。時間帯によって表情を変える湖とともに過ごすことで、阿寒湖の魅力はより深く心に残ります。

また、温泉街の中では無料巡回バス「まりむ号」が運行されており、各ホテルやビジターセンター、阿寒湖アイヌコタンなどを結んでいます。徒歩での散策に加えて移動の選択肢があるため、滞在中に温泉街を回りやすいのもうれしいポイントです。

「水のカムイ観光圏」を巡るなら、阿寒湖はぜひ宿泊を組み込みたいエリアです。
自然の美しさ、温泉地ならではの心地よさ、そしてアイヌ文化に触れられる環境がひとつに重なり、旅の満足度を大きく高めてくれます。

阿寒エリアは動画の1:08からご覧になれます。

摩周湖の見どころは?雲海・展望台・弟子屈・川湯温泉まで紹介

阿寒湖を離れて摩周湖へ向かう道のりでは、旅の空気が少しずつ変わっていきます。車窓に映る景色は次第に森の色を深め、人の気配は遠のき、澄んだ空気の中に静けさが増していきます。
そうして展望台に立った瞬間、目の前に現れるのが、摩周湖ならではの凛とした青い湖面です。その景色には華やかさとは異なる、思わず言葉を失うような静かな迫力があります。

摩周湖は、標高およそ350〜400メートルに位置する、約7000年前の火山活動で形成されたカルデラ湖(火山活動による大噴火で山頂付近が陥没し箇所に、雨水や地下水が溜まってできた湖)です。湖の周囲は外輪山にぐるりと囲まれ、大きな川が注ぎ込むことも、湖から川が流れ出していくこともほとんどありません。外からの影響を受けにくい環境だからこそ、摩周湖ならではの高い透明度と澄んだ青い湖面が守られています。
こうした地形によって外部からの影響を受けにくく、摩周湖は世界有数の透明度を誇る湖として知られてきました。1931年には41.6メートルの透明度が観測され、湖沼透明度の世界記録として知られています。その澄みきった水は『摩周ブルー』と呼ばれる印象的な青を生み出しています。

摩周湖の魅力は、ただ青く美しいだけではありません。湖畔に降りて遊ぶ場所ではなく、展望台から静かに眺めることで、その輪郭の美しさや湖を包む空気まで含めて味わえる場所です。

摩周湖の霧と雲海
摩周湖はその霧の多さでも知られており、「霧の摩周湖」として古くから親しまれています。晴れた日の透明感のある鮮明な青も圧巻ですが、霧がかかった日には湖全体が白いベールに包まれ、神秘的な雰囲気がいっそう深まります。晴れの日も霧の日も、それぞれにこの湖らしい表情があります。

近年特に注目されているのが摩周湖の雲海。早朝に霧が低い位置に漂い、展望台からは雲海の上に摩周岳がそびえる幻想的な光景が広がることがあります。条件が揃ったときにしか見られない景色だからこそ、「見られたらラッキー」という期待感も旅の楽しみになります。

摩周湖をより楽しむための周辺情報
屈斜路湖
日本最大のカルデラ湖。砂湯では砂を掘ると温泉が湧き出るユニークな体験ができます。

川湯温泉:強酸性の硫黄泉で知られる温泉地。摩周湖・屈斜路湖と合わせて「弟子屈三湖」を巡る旅程が人気です。
川湯温泉は動画の5:22からご覧になれます。

弟子屈(てしかが)
摩周湖・屈斜路湖の玄関口となるまち。道の駅 摩周温泉など、地元食材を使った飲食店も充実しています。

釧路湿原の広さ、阿寒湖の深さ、そして摩周湖の静けさ。それぞれに異なる表情を持つ3つの場所が、「水のカムイ観光圏」の周遊を豊かなものにしています。
摩周エリアは動画の3:18からご覧になれます。

「水のカムイ観光圏」で味わいたいグルメは?水の恵みと土地の気候が育てる道東の食

「水のカムイ観光圏」の魅力は、景色や温泉、文化だけにとどまりません。旅の満足度をぐっと高めてくれるのが、この土地ならではの食です。
釧路湿原、阿寒湖、摩周湖周辺では、水辺の恵みと冷涼な気候、広い大地が育む食材がそれぞれ異なり、訪れる場所ごとに味わいの印象も変わっていきます。

旅先の記憶は、目にした風景だけでなく、そこで口にした味によっていっそう鮮やかになります。港町に近い釧路では海の幸の存在感が際立ち、阿寒湖周辺では湖の恵みや山の幸に出会えます。さらに弟子屈や川湯温泉方面へ足を延ばせば、内陸ならではの食材や地域に根づいた味わいが楽しめます。同じエリアを巡っていても、食の印象が少しずつ変わっていくことが、「水のカムイ観光圏」の旅をより奥行きのあるものにしてくれます。

このエリアでは、湿原、湖、温泉地と景色が移り変わるのに合わせて、食の楽しみ方も自然に変わっていきます。だからこそ、「何を食べるか」まで含めて旅を組み立てると、この土地の魅力をより立体的に味わえます。

釧路エリア:海の幸と炉端焼き
釧路は北海道有数の漁港の街。サンマ・シシャモ・ホッカイシマエビ・毛ガニなど、新鮮な海産物が揃います。
和商市場の勝手丼は、釧路観光で定番のグルメのひとつです。
和商市場の勝手丼は動画の6:28からご覧になれます。
「釧路の炉端焼き」は、地元文化として根づいた食スタイル。炭火でじっくり焼いた魚介を、気取らない雰囲気の店でいただく体験は、観光地の「映えグルメ」とはまた違う、素朴な満足感があります。釧路港近くの炉ばたエリアは、夜に足を運びたい場所のひとつです。
釧路の炉端焼きは動画の6:46からご覧になれます。

阿寒湖エリア:湖の恵みとアイヌの食文化
阿寒湖では、冬のわかさぎ釣りが人気の体験のひとつ。釣った魚をそのまま天ぷらにして食べられる施設もあり、湖の恵みを直接いただく贅沢があります。また、阿寒湖アイヌコタン周辺では、アイヌ食文化に触れられるメニューを提供するカフェや飲食店も増えています。シカ肉や山菜を使ったアイヌ料理は、独自の食文化を持つアイヌ地域ならではの味わいです。

弟子屈・摩周エリア:内陸の恵みと温泉地ならではのご当地グルメ
弟子屈周辺は酪農が盛んで、地元の牛乳や乳製品を使ったスイーツやソフトクリームが人気です。川湯温泉では、温泉宿の夕食に道東産の食材が並び、地産地消の豊かさを感じられます。

なかでも弟子屈ラーメンは、このエリアを代表するご当地グルメのひとつです。摩周湖の伏流水を使って仕込まれるスープや、長時間煮込んで引き出した深い旨みが特徴で、旅の途中に立ち寄って一杯味わいたくなる存在です。魚介の旨みを生かした醤油味や、コクのある味噌味など、北海道らしい力強さがありながら、後味には澄んだおいしさが感じられるのも魅力です。弟子屈の自然を思わせるような、奥行きのある味わいが旅の記憶に残ります。

さらに、弟子屈周辺では摩周そばもよく知られています。川湯温泉の公式案内でも、摩周そばは地域団体商標を取得した特産品として紹介されており、冷涼な気候の中で育まれた、香りのよさとすっきりしたのど越しが魅力です。景色を楽しんだあとに、土地の水と気候が生んだ素朴で上質な味をゆっくり味わうのも、このエリアらしい楽しみ方です。

豚丼も弟子屈周辺で親しまれているグルメのひとつです。香ばしく焼いた豚肉に、旨みのあるたれが絡んだ一杯は、観光の合間の食事にもぴったりです。ラーメンやそばとはまた違う満足感があり、弟子屈の食の幅広さを感じさせてくれます。

春夏秋冬でどう楽しむ?「水のカムイ観光圏」の四季ごとの見どころ

「水のカムイ観光圏」は、季節によってまったく違う表情を見せます。旅する時期によって景色が大きく変わるのも、このエリアの大きな魅力のひとつです。

春〜夏(5月〜8月):緑と青の季節、初めての方にも回りやすい
釧路湿原の緑が濃くなり、阿寒湖・摩周湖の深い青が映える季節。日照時間が長いため、たっぷり動けます。釧路湿原カヌーや木道散策など、自然体験系のアクティビティが充実するのもこの時期です。本州の夏の暑さから逃れ、涼しい道東で過ごすのも心地よい選択肢。釧路は霧が多い日もあるため、羽織るものを一枚持っておくと安心です。

秋(9月〜10月):紅葉と澄んだ空気、写真に残したくなる季節
阿寒の森が色づき、摩周湖の展望台からの眺めはより鮮明になります。夏よりも空気が澄み、遠景まで見渡せる日が増えます。観光の人出が少し落ち着く時期でもあり、ゆっくりと自分たちのペースで回れる、穴場のシーズンです。

冬(11月〜3月):タンチョウ観察、雪景色、温泉の聖地になる季節
道東の冬は凛として厳しいですが、その冷気が生み出す景色は格別です。雪に覆われた湿原でのタンチョウ観察は、冬にしかできない体験。阿寒湖の氷上わかさぎ釣りや、摩周湖の雪景色も見どころです。そして何より、温泉の心地よさが倍増するのが冬。阿寒湖温泉も川湯温泉も、雪の中の露天風呂は格別です。氷点下の外気の中に入ると、温泉の蒸気がもうもうと立ち上がり、幻想的な世界が広がります。

同じ「水のカムイ観光圏」でも、季節によってこれほど見え方が変わるエリアはなかなかありません。一度訪れた方が再訪したくなる理由のひとつが、まさにここにあります。

水のカムイ観光圏へのアクセスは?車・公共交通・バスでの回り方

「水のカムイ観光圏」は、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖を中心に広がる観光エリアです。見どころが広い範囲に点在しているため、どの移動手段を選ぶかで旅のしやすさが大きく変わります。広く巡って景色の変化を楽しみたいなら車、阿寒湖温泉や川湯温泉を拠点にしてゆったり滞在したいなら公共交通を中心に考えると、計画が立てやすくなります。

水のカムイ観光圏の主なアクセス拠点
釧路空港
東京(羽田)などからアクセスしやすく、水のカムイ観光圏の玄関口として利用しやすい空港です。大阪・名古屋方面は時期によって季節便が運航されることがあります。釧路空港から阿寒湖温泉までは車で約1時間、釧路市街地までは約30分、釧路湿原周辺の主要スポットへも約30分から1時間ほどで向かえます。初めて水のカムイ観光圏を巡るなら、釧路空港から入ると釧路湿原、阿寒湖、摩周湖の順に回るルートが組みやすくなります。

女満別空港
阿寒湖、摩周湖、川湯温泉方面を中心に回りたい場合は、女満別空港から入るルートも便利です。女満別空港から川湯温泉までは車で約1時間10分、摩周湖周辺までは約1時間前後、阿寒湖温泉までは約1時間30分ほどが目安です。摩周湖や弟子屈周辺を旅の中心にしたい場合に向いています。

釧路駅
JRでアクセスする場合の拠点になるのが釧路駅です。札幌・新千歳方面から特急を利用して向かうルートが一般的で、鉄道旅の起点として使いやすい駅です。釧路駅から釧路湿原周辺へは車で約20〜40分、阿寒湖温泉へはバスで約2時間が目安になります。

車で回る場合:釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をつなぎやすく、2泊3日にも向く
車があると、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖の3エリアを自分のペースで回りやすくなります。移動時間の目安は、釧路市街地から阿寒湖温泉まで約1時間30分、阿寒湖温泉から摩周湖第1展望台周辺まで約1時間15分、摩周湖から川湯温泉までは約20〜30分ほどです。

釧路湿原では細岡展望台や北斗展望地、温根内木道など見どころが点在しているため、車があると複数のスポットを組み合わせやすくなります。阿寒湖では湖畔散策や阿寒湖アイヌコタン、摩周湖では展望台めぐりや川湯温泉への立ち寄りなども無理なく加えやすく、旅の自由度が大きく高まります。水のカムイ観光圏を2泊3日で広く巡りたいなら、車移動がもっとも計画しやすい方法です。

レンタカーは釧路空港、女満別空港のどちらでも借りやすく、空港到着後そのまま出発できるため、限られた日程でも動きやすくなります。

公共交通で回る場合:阿寒湖温泉・川湯温泉を拠点にすると巡りやすい
公共交通でも水のカムイ観光圏を旅することはできますが、このエリアは都市部のように本数が多いわけではないため、移動には少し余裕を持たせることが大切です。釧路駅から阿寒湖温泉へは阿寒バスが運行しており、所要時間は約2時間です。阿寒湖温泉から摩周駅・川湯温泉方面へ向かう場合は、路線バスの本数や乗り継ぎを事前に確認しておくと安心です。

公共交通で回る場合は、釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をすべて詰め込むよりも、阿寒湖温泉や川湯温泉を宿泊拠点にして周辺を巡るほうが旅を組み立てやすくなります。たとえば阿寒湖温泉に泊まって湖畔散策や阿寒湖アイヌコタンを楽しみ、別日に川湯温泉へ移動して摩周湖や弟子屈周辺を巡る流れなら、移動の負担を抑えながら景色の違いも味わえます。

広いエリアだからこそ、移動に余裕を持たせることが旅の満足度につながります。行きたい場所を少し絞り込み、景色を急いで消化しない行程にすると、水のカムイ観光圏らしいゆったりとした旅を楽しみやすくなります。

1泊2日・2泊3日のモデルコースは?初めてでも回りやすいおすすめルートを解説

「水のカムイ観光圏」を初めて旅するなら、どこを起点にして、どの順番で巡るかによって旅の満足度が大きく変わります。釧路湿原、阿寒湖、摩周湖はそれぞれ魅力が異なるため、移動時間の目安をつかみながら、無理のない行程を組むことが大切です。ここでは、初めてでも回りやすい1泊2日と2泊3日のモデルコースを紹介します。

モデルコースA:1泊2日(釧路湿原 → 阿寒湖)

短い日程の中で、釧路湿原の雄大な広がりと阿寒湖の滞在する楽しさを味わうコースです。景色の変化を感じやすく、初めての訪問でも組み立てやすい流れです。

1日目

所要時間・目安 場所 見どころ・過ごし方
釧路空港発:約40〜50分
釧路駅発:約30〜40分
細岡展望台周辺 釧路湿原を代表する展望スポットへ。広大な湿原を一望しながら、旅の最初にこのエリアならではのスケール感を味わいます。
約1時間30分〜2時間30分 釧路湿原カヌー 午後はカヌー体験へ。水辺に近い目線から湿原を感じられる、印象に残りやすい体験です。事前予約がおすすめです。
移動 約30分〜1時間 釧路市内
または釧路湿原周辺
宿へ移動してチェックイン。夜は釧路市内で炉端焼きや海鮮を楽しむと、港町らしい食の魅力も味わえます。

2日目

所要時間・目安 場所 見どころ・過ごし方
約40分〜1時間 サルボ展望台
コッタロ展望台方面
朝は別の展望スポットへ。前日とは違う角度から湿原を眺めることで、景色の奥行きがより伝わります。
約1時間30分〜2時間 釧路湿原周辺 → 阿寒湖温泉 湿原の景色から湖の風景へ移る移動区間。道中の景色の変化も旅の魅力のひとつです。
約1時間〜1時間30分 阿寒湖アイヌコタン
遊覧船・チュウルイ島
阿寒湖到着後は、アイヌ文化に触れたり、遊覧船でマリモ展示観察センターを訪れたりと、阿寒湖らしい過ごし方を楽しめます。
約1時間〜 阿寒湖温泉 日帰り入浴や湖畔散策を楽しみながら、帰路へ。釧路空港へは車で約1時間、女満別空港へは約1時間30分が目安です。

モデルコースB:2泊3日(釧路湿原 → 阿寒湖 → 摩周湖・弟子屈)

「水のカムイ観光圏」を代表する3つのエリアをつなぎながら巡る、もっともおすすめの周遊コースです。湿原、湖、温泉地と、旅の表情が日ごとに変わっていくのを実感しやすい流れです。

1日目

所要時間・目安 場所 見どころ・過ごし方
釧路空港発:約40分〜1時間
釧路駅発:約20〜40分
釧路湿原の展望台 まずは展望台から釧路湿原全体の広がりを楽しみます。旅の始まりに、この地域の大きさを実感しやすい立ち寄り先です。
木道散策 約30分〜1時間
カヌー 約1時間30分〜2時間30分
温根内木道
またはカヌー体験
時間に応じて、木道散策かカヌー体験を組み合わせます。体力や天候に合わせて選びやすいのも魅力です。
釧路市内泊 炉端焼きや海鮮を楽しみながら宿泊。景色だけでなく、港町ならではの食の印象も旅に加わります。

2日目

所要時間・目安 場所 見どころ・過ごし方
朝〜午前 釧路湿原再訪
またはタンチョウ観察
前日に見きれなかった景色をもう一度楽しむか、季節によってはタンチョウ観察スポットへ立ち寄ります。
約1時間30分 釧路市内 → 阿寒湖温泉 釧路から阿寒湖へ移動。湿原の開放感から、湖畔の落ち着いた風景へと旅の雰囲気が変わっていきます。
午後 約2〜4時間 阿寒湖周辺 湖畔散策、遊覧船、阿寒湖アイヌコタン散策などを組み合わせて、阿寒湖らしい滞在を楽しみます。時間が合えばアイヌ古式舞踊の鑑賞もおすすめです。
夕方〜夜 阿寒湖温泉泊 温泉に浸かりながらゆったり滞在。釧路湿原とは異なる、静かで落ち着いた旅の時間を味わえます。

3日目

所要時間・目安 場所 見どころ・過ごし方
阿寒湖畔 朝の湖畔をゆっくり散歩し、静かな湖の表情を味わいます。宿泊したからこそ出会える時間帯です。
約1時間〜1時間20分 阿寒湖温泉 → 摩周湖展望台 摩周湖第1展望台または第3展望台へ。湖の青や静けさ、外輪山に囲まれた独特の景観を楽しみます。
約30〜40分 摩周湖 → 屈斜路湖・砂湯 摩周湖の展望を楽しんだあとは、屈斜路湖へ。砂湯では足元から湧く温泉を感じられるのも魅力です。
約15〜20分 屈斜路湖 → 川湯温泉 川湯温泉で足湯や日帰り入浴を楽しみながら、温泉地らしいひとときを過ごします。
昼〜午後 弟子屈町内
道の駅「摩周温泉」
弟子屈ラーメンや摩周そばなどのご当地グルメを味わい、時間があれば道の駅で買い物も楽しめます。
約1時間10分〜1時間20分
(女満別空港へ)
約1時間40分〜2時間
(釧路空港へ)
帰路 旅の締めくくりに空港へ移動。帰路に合わせて女満別空港または釧路空港を選べるのも、この周遊コースの組みやすさです。
旅のポイント:移動時間まで含めて楽しめる行程にする
「水のカムイ観光圏」は、見どころそのものだけでなく、スポットとスポットを結ぶ道中にも魅力があります。車窓の景色が少しずつ変わり、湿原の広がりから湖や森の風景へと移っていく時間そのものが、この旅の印象を深めてくれます。移動を急いでこなすのではなく、1回の移動をおおむね1時間〜2時間の旅の一部として楽しむつもりで計画すると、全体の流れがぐっと心地よくなります。

初めてなら、1泊2日は釧路湿原と阿寒湖の2エリア、2泊3日なら釧路湿原・阿寒湖・摩周湖までをつなぐ流れが無理なく回りやすい組み立てです。少し時間に余裕を持たせることで、「水のカムイ観光圏」らしい景色の変化や空気の違いを、より深く味わいやすくなります。

釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をつないで巡る、水のカムイ観光圏の旅へ

釧路湿原の果てしない広がりに目を奪われ、阿寒湖では湖畔に流れる穏やかな時間とアイヌ文化の奥深さに触れ、摩周湖では静けさに包まれた青い湖を前に立ち尽くす。水のカムイ観光圏の旅は、ひとつひとつの景色や体験がゆるやかにつながり、気づけばひとつの大きな旅の物語になっていきます。

釧路湿原・阿寒湖・摩周湖をつないで巡る水のカムイ観光圏は、ただ観光地を回るだけでは終わらない、記憶に深く残る旅先です。次の北海道旅行では、景色の美しさだけでなく、静けさや文化、温泉、食までゆっくり味わえるこのエリアを旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか。

旅行を計画する際は、バスの時刻や観光施設の営業時間、季節ごとの営業状況などが変わる場合もあるため、出発前に公式サイトで最新情報を確認しておくと安心です。
【公式サイト】https://untouchedhokkaido.jp/

この記事を書いた人
最終更新日 : 2026年3月17日
セントビンセントおよびグレナディーン諸島
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水のカムイ観光圏とは?釧路湿原・阿寒湖・摩周湖を巡る絶景ルートとモデルコース・アクセス完全ガイド
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